どちらかというと映像で見るより活字から妄想するのが好きなので
あんまり映画を観る機会がないのですが
観た人から聞くところ絶対好きな作品に違いないと思いまして というか勧められまして
今更ようやく鑑賞致しました
監督:DARREN ARONOFSKY
出演:NATALIE PORTMAN/VINCENT CASSEL/MILA KUNIS
ナタリーポートマンといえば「レオン」
心を持った犯罪者ものが好きなので例えばパーフェクトワールドとか
レオンも大好きな作品のひとつですが
いやー黒鳥凄かった
作品の展開や演出も実に素晴らしいのだけども
ナタリーポートマンが凄い
もうプロのバレリーナにしか見えない
物語の中の主人公と同じレベルで役作りに励んだのではないかとさえ思える
28歳で主人公ニナを身籠った母はプリマになる夢を諦めざるを得なかった
そのためニナに自分の夢を託すわけだが
それだけではない
娘を異常なほど溺愛しニナの夢を二人三脚で追い求めるように見えて
深い愛情と共に宿る嫉妬心と憎しみから過保護になっているだけである
鏡に映るニナの中に激しく描かれる母の憎愛
ニナが母の一部であり自立したひとりの人間でないことが
物語のテーマのひとつとして見えた
主役に抜擢された後
本当は踊るのは私だった という母の嫉妬心と
手にしかけている栄光を横取りされる被害妄想
自分の存在を母親を通して見ているニナの姿が
度々鏡を使って表現されている
踊るのは私 ママとは別のひとりの人間として殻を破らないと
黒鳥が踊れない
その脱皮へのプロセスが実に生々しい
自分の娘を無意識に自分の一部として育ててきた母親にとって
彼女が自分のものでない別の人間に見える瞬間が
ドラッグ遊びから帰宅した深夜のセリフなんだと思う
その後プレッシャーに押し潰されニナは
現実と悪夢の境目を行ったり来たりするわけだが
ここからはまた別の問題で
一流になるための戦いの厳しさを物語っている
まさに命懸けで黒鳥を演じる彼女は
体から黒い羽根が生え 黒鳥そのものに変化してゆく
ライバルを殺して舞台へ向かう幻想の描写が強くて繊細で本当に美しくて
ボロボロ涙がこぼれる
しかし殺したのは自分自身だった
自分を縛りつけていた自分自身を殺してまで彼女は
その役を完璧に演じきりたかったというわけだ
喉から手が出るほど主役が欲しいというか喉から手出てるみたいな
そんなシーンはありませんけど(笑)思い描くのに容易なCGなど
グロい場面も素敵でした
それから音響
クラシックなピアノの音はどことなく悲しくて本当に大好きです
白鳥の湖という曲は僕も幼いころから母に聴かされていた名曲で
久しぶりに全部通して聴きたいなーと
思っても音源がレコードでしかないなんて
再生する機材がどこにもないっていう(笑)
第4幕のラストシーンが本当に素晴らしかった
客席で涙を流す母を見つけたニナの表情が忘れらない
てゆうかナタリーポートマン凄い(2回目)
まぁ...これ読まれてる方はわけがわからないと思いますけど(笑)
後に色々見たら忘れちゃうような作品ではなかった
確かにこれは正常な精神を持った人が見たら堕ちる映画かもしれませんね
HAPPYな作品ではまったくございませんがw
ここまで全部を懸けられたらそれほど幸せなことはないと思うわけでして
誰が見ても悲劇の結末でもその舞台が自分の思う通り完璧だったら
むしろそこで 自分の思い描いたその頂点で死に絶えたいですな 羨ましい
こんな感想持つ人あんまいないかな(笑)
間接照明で生活している僕の部屋は白と赤で構成されていて
自作の血まみれスカートが壁に掛けてあるんですが
変な夢見ませんように(正常)