SOLITUDE-klang

ヴィジュアル系オタクの冷酷で情熱的なライブレポ

キズ単独公演「そらのないひと」@日比谷野外大音楽堂

なんだかものすごく時間がなくってまた一週間経ってしまいましたw

 

(結局行ったw)

 

屋根付きの箱でも圧倒的降水率のキズが野外なんて雨でしかないと思いながらチケット買ったんですけど

当日窓から外見てた時は曇りだったのに玄関開けたら雨でw

ライブ中ずっと降り続け終わる頃止むとか意図的に降らしてるとしか

結果的に雨の野外×キズ=最高

こんな条件下でこんなライブはもう観れないかもしれないと思うほど奇跡的な瞬間の連続でした 

数週間前まで行こうと思ってなかったので気が変わって本当によかった

 

10/8(SUN)

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この2~3日前ドテラ着てコタツ入るレベルで寒かったじゃないですか

あの気温で雨だったらどうしようと思ってたんでそんなに寒くなかったのが救い

日比谷野音摩天楼オペラAVALONツアー以来なので8年振りくらいかなぁ  こんなに大きかったっけ

霞ヶ関駅から行くならB2出口が最寄りですがA出口とC出口しかないトリックにハマり結構歩いてしまって着いたら暑かったし早めに出たのにまたギリギリでした

 

ステージ後方は1枚ずつ仕切られ五角にカーブしたスクリーンに

鮮やかに描かれた天使のステンドグラスが5枚

ライブ中は近藤監督のお馴染みの映像が流れるんですが

スクリーンの仕切りが最近のキズが表現する世界観に相まってすごく良かった

 

レインコートに身を包み開演を待つ客席は静かで粛々としており 通常公演では見られない異様な雰囲気が漂います

下手側の袖方面から気合入れの声が聴こえて来たので客席側もスタンバイ

ビートを刻むノリの良いSEに乗せて楽器隊がパラパラと揃いました

グリーンのベルベットのセットアップに大きなサングラスをかけたreikiさんの手にはステッキ

プレタポルテコレクションのランウェイを歩いていても違和感無さそうなきょのちゃんは黄色いパワーショルダーのセットアップ 両目全眼

メタルパーツを合わせたグレーのスーツを品良く着こなすユエさんはいつもより少し派手な印象ですが 

相変わらず同じ人間とは思えないw美しさに加えて逞しさが加算された気がします

雨音を弾き叩く音に迎えられステージに現れた来夢さんは黒の羽織りに学生帽 

一番しっくりくるなと個人的に感じている装いです

メンバーを迎えると会場は沈黙に包まれ 天然の雨音だけが静かに響く空間に拡がる

来夢さんの歌声

サビのキーのアカペラで始まる黒い雨の前歌に開始3秒で涙出そうになりました(笑)

こちらの身体まで直に突き抜けるような歌声に金縛りのように硬直し

楽器隊が入ったところで大きく息が漏れて呼吸が止まっていたことに気付く w

これこそが

これこそがキズのライブ

どこか俯瞰しながらも 一番通い詰めていた時代の自分に強制的に戻されます

身体ごと傾けながらギターを掻きむしるreikiさんの地獄のイントロ

いつものライブのように煽られ

いつものように客席も拳を上げるのだけど

半透明の装束が揃う統一感のある後ろ姿が

キズが醸し出す世界観に沿って収集されたエキストラに見えてやはり意図的な天候としか思えない(笑)

(地獄の出だし数秒をイヤホンで聴くと耳のLR交互に聴こえてきて脳が支配されるから聴いたことない人聴いてみてw)

 

大きなギターを身体の一部かのように抱えると銃声

イベントで聴くことが多かった銃声も

黒い雨で始まったワンマンの流れの中での演奏だと実に納得のいく役どころ

戦時を回想させる映像が使われている曲では

セピア色の上空を行き交うヘリコプターがスクリーンの仕切りを通過してゆく様がリアルで

センターに学生帽のシルエットが重なると 同時並行世界の中にいるかのような錯覚を覚えます

 

メンバーがステージ前方に乗り出し ヒューマンエラーイントロのギター

開場のボルテージが高まってくるのがわかります

この第一声   野外で聴いたらすごすぎてもはや笑いが出るw

サビから入る曲はボーカルの頭でいちいちびっくりするこの感覚が懐かしい

映像の中でマネキンのような人体がいくつも登場するシーンがありますが

今日は目の前の客席を見ても映像と同じそれが並んでおりw

私1人がVRで見せられているのかと思いました(笑)

 

来夢さんのブレイズはライトで光る仕様になっている

曲によってステージを照らす青い光はブラックライトなのかな?

半世紀前に乗っていたマークIIバンの内装を思い出しました

 

今日はいつもより 天国が近い気がするなぁ!ミルク

とタイトルコール スクリーンに映るMVをバックに

パタパタを両手を上げる客席

腕を上げたら袖口から雨が入ってくると思うんですけどw

それでも全力でできることをする客席が誇らしくかっこよかった

 

淡々と降り続く目の前の雨が

天然紗幕みたいにステージを掠めて映す 物憂げな15.2

reikiさんのキャラクターの奥の奥にある人格を顕すような抑圧されたギターの音と優しい雨音が重奏になって

偶然降ったのではなく 降らせる演出であったと確信する曲との相性でした

こんなミラクルを誰が予想できたかと

アウトロの後半で右手にギターを持ち次の曲をチラつかせるリフを鳴らす来夢さん

スクリーンには大きな首吊り縄

きょのちゃんがスティックを両手に持ったまま立ち上がり ふぉ!っと声を上げて始まる最近の 平成

一緒に生きてくれ と共にリズム隊が加わると

客席ではレインコートのフードを取り髪を振り乱す姿が目立ち始めました

確かに  マスクをしてフード被ってたら眼鏡曇りますしw たいして動かなくたってどうせ濡れるので私もこの辺から開き直り始めたけど

ずぶ濡れになりながらヘドバンするお客さん達もカッコくて

本当にキズと一緒に生きているみたいだ

こんな天気だからこそ透けてくるバンドとの見えない絆

 

おっきいのは好きかー?

おっきいのは好きかー?^^

Mr.BiG MONSTER

水飛沫を上げながら暴れる客席と 天候関係なく命懸けのステージ

けれど私がここ数ヶ月で見た対バンイベントでのキズとは明らかに違いました

そしてこの音は久しぶりに聴く ずっと待ってた0

私がキズ史上最高傑作だと思っている0

あの映像はEXの時に観たものと同じだと思うんだけど

一瞬にしてさっきまでの当たり前が崩れてしまう儚さと

体温を失い表情を失くした街の姿がスクリーンの仕切りを跨いで流れていく

その目の前で ”生まれなくて良かった” 

意志と反する生はその最後までルールも答えもない 最初から何もない

儚さは虚しさに成り代わり会場が占拠されてゆく

この曲とこの映像の演出は一度見たら忘れない 自らの前非を悔悟したくなるような

集合意識を刺激する何かがあると思う

0の虚しさに支配されながらまた新たに虚無感を産むストロベリー・ブルーの不穏なイントロ

…このイントロほんと独特だよね

よくあるコードじゃないから耳に馴染むまで少し時間かかったけどクセにはなっていて

何度か聴くうちにエラい名曲に思えてきた

なんなんだこの旋律は

明らかに普通のV系ではない

キズにしかない世界観がくっきりと目に見えるようです

サビでは下を向き安定したバスドラを踏むきょのちゃんが妙に大人びて見えて

どこかあの頃とは違うと感じる寂しさも

曲の雰囲気に似かしくだいぶ移入してしまった

続く傷痕 の最も聴き慣れた旋律を聴けば尚更 

ストロベリー・ブルーの孤高な存在感が際立ちます

傷痕のアウトロでは来夢さんがreikiさんの耳元で何かを伝える見慣れた様子(笑)

その後下手へ移動しユエさんの肩に手を掛けやはり耳元で何か言っているらしく

ユエさんがうんうんと小さく頷いているのが見えた

流れと違うフォーメーションを入れ込むための打ち合わせかと思いきやそうでもないこともあるそうでw

小箱のツアーでも大箱の公演でもちょいちょい見掛ける微笑ましい光景です

 

ラストー!と叫ぶ声はいつかの男限の映像で聞いたことのある濁ったシャウト

リトルガールは病んでいる。

今日はこれを聴きにきたようなものだったんですけど

今からこんな大物聴くのかと思うくらいw 長編の映画を観た後のようにすでに全身を浸食されている

ストリングスのイントロにリズム隊が乗ると早速漂うただならぬラスボス感

あの生々しいMVを背負って訴える狂った世界への皮肉

日本人であれば誰もが記憶の端に残している赤紙B-29の残像をありありと見せつけられると

逃げているものと強制的に向き合わされるような感覚になります

表面的には反戦ソングと受け取ってしまいがちだけれど

それだけではなくて キズはいつも

選べない生と死と 選ぶことのできる死を並べて掲示しているようにも思えます 

曲の最後で無伴奏になる独唱部分は

極限の心理状態から笑みを浮かべる女性の映像を背に長いお立ち台の前へ出て

MVの中のあの女性と共に何かを訴えているようでした

楽器隊が捌け 同期が切れてもまだそこで独り 生声を絞り出す

最後に叫び声を上げその場に倒れ込み照明が落ちた

 

記憶の中でいつかの名古屋公演が蘇る

日比谷から一週間が過ぎようとしている今でも

最後のあの声が耳に残ってる

 

 

~アンコール~

 

雨足が弱まってきました

確か最初と同じSEに乗せて

相変わらず誰一人バンTに着替えることなくwそのままステージへ

来夢さんとreikiさんは本編で上着を脱いでいたので柄シャツでした(笑)

来夢さんがスタンドマイクを持って身体ごと横に向いたので

もしかしてと期待した 十七

一時期これにハマってしまって大変だった

サビの高音部が掠れて辛そうな公演もあったっけ

いつまでもあんな声が出る人はいないと思っていたなとw思うと

今再びこの歌声を聴けることが幸せです

十七 終わって一旦照明が落ち また上がると

ドラム台の上手側に来夢さんとreikiさんがちょこんと肩を並べて座っている

ユエさんは下手側の袖の方に体を向けて座っているのだけど

どう見ても公園の土管の上に座り込み純粋に音楽を楽しむ少年たちのジャムセッション

reikiさんが鳴らすギターに乗せて来夢さんの声が乗る

バックスクリーンはそんな彼等のアップ映像がリアルタイムで流れていて

一人一人の楽しそうな表情を拝むことができました

・・何度聴いてもバスドラが入ってくるところの

何かを悟り諦念するような旋律がたまらないです

諦めることは世間的にあまり宜しくないような風潮があるけれど

キズの曲には時折こんな諦念の感覚を覚える曲中の展開があって

そこから後の包容力と腹の底に芽生えた強さが本当にかっこよくて引き込まれます

曲の盛り上がりに合わせてメンバーが次々と立ち上がり各々の定位置へ

日向住吉   キズがこんなにハートフルで良いのかと

ラブソングに近い捻くれた深い情愛をw歌う様子がキズらしい

あの人らしい(笑)

 

おしまい

キズの始まりの”おしまい”を日比谷の最後に(ややこしい)

初めて観たZeppの時から聴いていますが

活動と共に目まぐるしく変化してゆくものと

変わらない軸 その両方が見て取れて

バンドの歴史を感じるラスト

落ちサビではいつものように

 

"あいしてるぞ" "お前ら全員愛してるぞ"

 

と 叫ぶ表情がスクリーンに映っていたのだけど

しっかりを客席と目を合わせてそれを訴える姿に今まで以上の確信と覚悟が見えて印象的だった

言葉にしないけれど ここにいる全員をひとりで抱えて行くのだろうな

もう一度サビに入り 気付けば雨が止んでいたかと空を見上げると

アウトロの最後の音に合わせて客席に向け金テープが飛んだ

 

爆弾が降ってきそうな世界だけど

空から幸せ降らせるようなバンドでいたい

お前らとやり合える限り

俺達は音楽をやり続ける

それが俺達の平和だ

 

 

【Setlit】

黒い雨

地獄

ステロイド

銃声

ヒューマンエラー

蛙-kawazu-

ミルク

15.2

平成

Mr.BiG MONSTER

0

ストロベリー・ブルー

傷痕

リトルガールは病んでいる。

 

~en~

十七

日向住吉

おしまい

 

(※来夢さんの最後の言葉は要所しか覚えていないのでニュアンスで繋げています)

 

 

これはヴィジュアル系のライブなのだろうか

どう見てもヴィジュアル系ではあるのだけれど

そう括ってしまえない 既存のV系界隈では見たことない世界観になってきていると思います

レインコート姿の客席は全ての人がほぼ同じシルエットで頭を覆っているために

戦時下における無慈悲な統一感をも彷彿させ

その突出した世界観が浮き出ていました

悪天候の粋な演出でしたね

 

普通という枠に着いて行けない人々を救ってくれるヴィジュアル系なのに

それが職業になると結局狭い枠の中に閉じ込められる のだろうなと

長年見ていて思うのですけど

その枠を固めている大人達が道を開けざるを得ない実力と圧倒的歌唱力で突破してゆく

使命を持って彼等はそこに立っているのかもしれません

 

ライブを行う日程や土地含めて反戦の意を表しているようにも見えるし

そんなテーマを掲げるV系もあまり見ないですが

単純に世界平和を訴えているわけではないですよね

キズのライブを観て感じ 人それぞれ思うことがあって

あらゆる状況下の元で受け取る個々の課題が真のテーマなのかなと捉えています

 

 

始動2年目~4年目まで追いかけていたのだけど

あの頃の彼等は1本のライブが終わる度その場に倒れ込むほどの

明日を捨てた全身全霊の気迫が魅力でした

それが徐々に緩やかになってきた感触はあったけど

この日のキズは今までより格段に安定した風格を醸しながら

未来を捨てる というより生涯を捧げるかのような覚悟を感じました

変わっていないけど 今の彼等には過去も未来もある

より現実的でリアルに 肚を決めていると思います

 


www.youtube.com

 

 

 

浦和ナルシスにキズの動員が入るとなるとかなりの倍率になりそうですね

この冬はザアザアのワンマンツアーを全通しようかなと思っているので

女地獄行けませんが

NHKホールは観に行きたいなぁ

キズはツアーやらないんですかね?

 

そうこうしているうちに今日明日とびじゅある祭りです

今見たら晴れそうな予報に変わっていましたが

雨の野外では袖口に注意ですw

中に長袖を着ていると袖口が濡れてそこがめちゃ冷えるのでご注意ください

それからビニールのポリ袋を持っていると便利でした

 

今日はOA.が目当てなので遅れられない

例年通り実況はTwitterでしていくつもりですので宜しければ

無事起きれますようにw

 

See you next gig.

 

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